「好きなことを好きなやつとやる」それが、一番社会のためになる SANU Founder / Brand Director 本間貴裕さん
仕事の日も休日も、日々の暮らしを楽しそうに過ごし、“いいあんべぇ”なライフスタイルを送る人物にスポットを当てたインタビュー企画「いいあんべぇな大人たち」
今回お話をお伺いしたのは、「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」「CITAN」「toco」「K5」など、話題のホテルやゲストハウスの仕掛け人として知られ、現在は"Live with Nature." をコンセプトに、人と自然が共生していくライフスタイルを提案するブランド「SANU」を立ち上げた本間貴裕さん。
そんな本間さんにとっての「いいあんべぇ」とは何か、本間さんがプロデュースした兜町のホテル「K5」のスイートルームでお話を聞かせていただきました。
※いいあんべぇは、沖縄などの方言で気分が良い時に使う言葉
「好きなことを好きなやつとやる」それが、一番社会のためになる
ーー早速で恐縮ですが、現在のお仕事についてお話を聞かせてください。
今は株式会社SANUという会社の創業者兼ブランド・ディレクターというようなポジションでいます。SANUは“Live with Nature.”、自然と共に生きるっていうコンセプトを掲げているんですけど、ライフスタイルというか、生活様式を変えていくことで人と自然がもっと上手くバランス取りながら生きてけるんじゃいかなって思っていて、それをみんなに伝えていくっていうブランドです。
ーーSANUでは具体的にどんなことを展開していくんでしょうか?
具体的にやるのが「セカンドホーム・サブスクリプション」っていって、木造のキャビンを東京から大体1時間半から3時間とかで行ける自然の中に置いてって。月額5万円ぐらいから泊まり放題、いろんなところに行きたい時に行けるようになるというようサービスを今立ち上げているところです。
※SANU 公式HPより
SANUの前は僕Backpackers’ Japanっていう会社を10年ぐらい作ってやってて。その時にゲストハウスtoco.とか蔵前のNui.っていうホステルとか、あと大阪の方にホテルやったり、このK5をプロデュースしたり。その後、Backpackers’ Japanの代表を辞めて、新しくSANUを興したばっかりっていう。できたてほやほやのSANUを作ってるっていう感じです。
ーーワクワクするサービスですね!
「セカンドホーム・サブスクリプション」って僕ら言ってるんですけど、2つ目の家を月額制で借りられる。自然の中でゆっくり仕事したり、本読んだり、またはサーフィンの拠点にしたりみたいなのをしたいけど、別荘買うと思うと数千万掛かっちゃうし、でもいちいちホテル予約するの面倒臭いし、何なら行きたい時に限って大体空いてないし。「そういうの解決したいね」っていう思いがあって。まあ、自分の個人的なものから始まってるんですけど笑
キャビンも100%木造建築で、国産材基本的に使って。間伐って言って、森って木を切った方が、実は豊かになる場合が多いんですけど。ちゃんと日本の森を切るっていう事をやろうっていうことを掲げてたり。あとは建物の基礎にコンクリートを使わずに、杭を打って地面からちょっと建物を浮かすような、社会の教科書で習った高床式倉庫みたいなことを。高床式で作ることによって、地面へのダメージを最小化することもやってて。最終的にはSANUの建物とかブランドが広がれば広がるほど自然が豊かになるっていうところを目指してます。
ーーお仕事をされる上で大切にされていることは何ですか?
そうですね。何個かあるけど、「好きな奴とやる」。それはもう、Backpackers’ Japanを興した時からずっと一緒で。“好きな奴と好きなことする”っていうのが一番社会のためになるって思ってるんです。二十歳ぐらいの時に「何が一番いいのかな?」って考えて、行き着いた先にそれが自分の中ではあって。やっぱり好きなことを好きな奴らとやるのが一番効率がいいし、信頼関係構築できるし、で、自分が一生懸命やれるから。成功するかどうかなんて基本的に誰にも分からないけど、でも一生懸命やれれば成功できる確率も上がるはずだから。ってことは、やっぱ好きな奴らと好きなことやる方がいい。
成功っていうのは金銭的なものだけじゃなくて、「社会に何をどう還元できるか」とか、「誰かにありがとうと思ってもらえるか」みたいなのも掛かってくるんで。それで言うと、好きな奴らと好きなことをちゃんとやってった先に、ありがとうって言ってもらえてお金がもらえたら、それが一番ベストだなと思って。
そこに加えて、今回はちょっと規模を出そうと思ってるんです。なので、グローバル企業を目指すし、売上で言っても1兆、2兆みたいな単位の会社にしていきたいなと思っています。その心は、やっぱり年が35歳になったので、男の子的に言うと「社会にインパクトがあるようなことをしたい」みたいな。もちろん今までやってきたことも、大なり小なりインパクトはあったとは思うんですけど。それが世界規模で人が自然との関係性とか暮らし方みたいなのを、ガバッて変えるきっかけになるようなことを仕掛けてみたいなって思ってて。
好きな奴らと好きなことをしながら、スピードと規模を資本主義の中でしっかり達成していくみたいな。最終的にみんなが自然を好きになってくれて、で、その自然を守ろうという人が増えるっていうのが一番最後のゴールなんですけど、そこに向けてやっていくっていうのが今の姿勢です。
ーーそう考えるようになったきっかけは何だったんでしょう?
そうですね。いや、Backpackers’ Japanの代表を辞めるなんて思いもしなかったんすけど、10年やって、「このまま続けていったら未来ってこうなりそうだな」って自分の先を想像できてしまう感覚があって。好きな奴らと好きなことはやってたからそれはそれで十分にハッピーなんですけど、「それでいいのかな、もうちょっと自分的にアクセル踏めそうだな」って思って。なので、何か先が見えてしまったというのもきっかけの1つ。
で、もう1つは僕、株式会社SANUっていうのを、福島弦っていう友達と2人で創業しているんですけど、やっぱり彼と仕事したかったっていうのも大きくて。福島弦はもともと東大の経済学部出て、マッキンゼーで中東でエネルギーのコンサルやってて。その後ラグビーのワールドカップの準備委員会で、日本のあのラグビー・ワールドカップの大会の主催側にいた奴なんですけど。
彼はやっぱりビジネス思考とか、インフラをどう作るかみたいなのにすごく興味があって。で、自分が仕事としてやるなら、たくさんの人に届くような何かを作りたいってずっと言っていて。僕は逆にいいものを1つ作りたいっていう仕事をしてたので、彼と俺が組んだら、いいものを、しかも広げられるんじゃないかっていう思いがあって。その2つが大きいですかね。
ーー初めて会った時から段階を踏んで、ずっと「一緒にやろう」ってアプローチしたというのを記事で読ませていただきました。
そうですね。そう、初めて会ったのは4~5年前ぐらいにハワイの結婚式で、友達の結婚式の前夜祭でバーベキューしながら会ったんですけど。そこから「一緒にやろうぜ」って言い続けて、で、今に至るって感じです。
ーー本間さんの他のインタビュー記事には、素敵な人との出会いの話がたくさん出てきますが、最近のいい出会いはありますか?
この間リリースしちゃったけど、山川咲ってボードメンバー、僕らの役員メンバーに新しく加わった女性が1人いるんですけど。彼女はCRAZY WEDDINGっていう、日本のウェディング業界に革新的なブランドを興して、少し前に辞めたあとに1年ぐらい何もやらない期間があって。それからSANUの役員で参画したんですが、彼女との出会いとかはやっぱり結構衝撃的な感じでしたかね。他にも挙げるといっぱい出てきちゃうけど、あんまり広げるとあれなんで笑
「自然、いいあんべぇじゃん」
ーーお仕事をされる中でのいいあんべぇな瞬間を教えてください
明確に2つあります。まず1個は、SANUっていうブランドがあることで、今まで見てこなかった自然をめちゃくちゃいろんなとこ見せてもらってて。例えば山梨の北杜市でやるって言ったら、「北杜ってどんな土地かな」って分かんないと基本的には想いを込められないので、分かるために足繁く通うし、自然の中で遊ぶってことをするんです。
例えばこの間、八ヶ岳で初めてアイスクライミングして。氷の凍った滝をアイゼンとピッケルで刺しながら登るみたいな。あんなの「レッドブルの世界だろ」って思ってたんだけど、道具があれば意外とできて。で、凍った川の氷の下を歩いていると、透明な水が流れてるのが見えたりするんですよ。その上を歩くってもはややったことない経験だし、谷の一番下から山を覗くっていう景色も今まで見たことなかったから。
SANUっていうブランドを興さなかったら、怖くてやらなかったけど、実際にやることで新しく見える自然がある。本当にピュアな自然を身体一つで体験するみたいなのができた時には、「やべえな」って、「いいあんべぇだな」って。「自然、いいあんべぇじゃん」ってマジで思います。
あともう1個はやっぱり人との出会いですね。地方に行っても素晴らしい人がたくさんいて。それこそ同じ世代でもちょっと上でも、その自然の中で活動してたり、ただ自然の中で活動するんじゃなくて、情報発信をしていたり。素敵な人がどの街にもいるんですよ。その人達と会えることがすごい嬉しくて。いつでもそうですけど、「こいつめっちゃいいな」って思える人と会い続けられてる。それはもう仕事始めてからずっとそうなんですけど、それもいいあんべぇですね。
ラジオが生み出すセレンディピティー
ーー普段の生活の中での“いいあんべぇ”も教えてください!
「いいあんべぇ」ってたぶん何となくバランスが取れて、心地いい感じだと思うんですけど、俺、サーフィンの行き帰りの車の中がすごい好きで。大体片道1時間半から2時間ぐらい、往復4時間で、日帰りで行くことが多いんです。朝、日昇ってないうちから高速走り始めて、千葉に差し掛かるぐらいで日ちょっと見えてきて、薄っすらってなってる時のラジオがいいあんべぇですね。
海に行く前、行った後のちょっとした昂揚感とか、何かすげえリフレッシュした気持ちと、ラジオで掛かる音楽。しかもその音楽が自分の好みの、iTunesとかSpotifyが「お前これだろ?」ってチョイスしてくれてる奴じゃない、ただのセレンディピティーというか、偶然そこで掛かってきた音楽がいい時は「何かきたな」って思います。スノーボードの行き帰りとかもそうですけど、車の中のラジオはめっちゃ好きっすね。
ーー確かに、ラジオから掛かる音楽には偶然の出会いがありますよね。
「意外とジャズってかっけーじゃん」みたいなのがあるし、テクノとか聴かなくても「何かこのシーンでテクノ聴いたらめっちゃいいな」とか。情報って自分がアクティブに取っていって掘ることも大事ですけど、それ以上にパッシブで、受け身でワーッてきてる中で、「これ何かいいな」って気付くみたいなのって面白いと思うんです。
昔だったら、インターネットもないから、おじいちゃんが相撲見てたら「相撲見るしかない」みたいな。でもふとした瞬間に「相撲かっけーな」って気付く時もあるし、「将棋って面白いな」って気付く時もあるし。そんなことと同じで、ラジオっていい意味で受け身になれるなと。
ただ、東京にいると日常生活の中でずっとラジオ聴いてるってよっぽど時間ないと難しいじゃないですか。だから、運転の中っていうのが好きですね。いいこと思い付くのも大体そのシーンが多いんです。特に帰り道かな。海の帰り道にすごくリフレッシュして、ちょっと眠いんだけど、コーヒー飲みながらラジオ聴いてて。そういう時に「やっぱあれやろう」とか、「やっぱあれはやめとこう」みたいなのを何となく考えるのが好きですね。
ーー少し話題変わるんですが、本間さんはかなりの海外好きだと思うんですけど、今コロナ禍で海外に行けない中でそういうストレスってありますか?
俺、全然ないっすね。
ーーえー!
ないんですよ。特にコロナになってからですけど、「国内おもしろいな」って思ってます。特に日本の自然って四季があるので飽きないですね。海入るにしたって北海道から沖縄まで全部海入れるし、山行こうとしたら、もうどこ行ったって山に当たるし。で、サウナするなら、もう湖もあれば川もあるし。
加えて、どこ行っても旨い飯あるし。「国内旅行やべえな」って思ってて。何かSANUやって、「エコだ」「サスティナビリティーだ」とか言ってて申し訳ないんですけど、「車持ってみてくれよ、みんな!」って、最近すっごい思うんですよ。海外旅行に行けない代わりに、「そのお金で駐車場借りようぜ」みたいな。それでめっちゃライフスタイルが変わるので。今って車もカーシェアだし結構前時代的なこと言ってるとは思うんですけど。
※本間さんInstagramより 愛用中のランドクルーザー70
今までは見たことないものを見るとか、刺激とか、リフレッシュって言うとどうしても海外だったけど、日本の2時間圏内でも見たことのないものってめちゃくちゃたくさんあるんです。もっとミクロで見ていったら、それこそ凍った滝とか見たことないし、地元のいい奴とも会ったことないし。それって実は「海外旅行行くのと何も変わんないな」って思いましたね。
ーー今こそ「日本国内」と。
うん。国内旅行、しかも車で。自分で距離を移動するっていう楽しさ。何か飛行機に乗って、要は乗っけてもらってるじゃないですか。あれはお金で移動を買ってるわけなんですけど。お金で移動を買うんじゃなくて、自分で移動する。それはチャリでもいいし、歩きでもいいし、車でもいいし。自分で移動する。その先に何か違う世界が広がってるって、すごい等身大な気がして。そっちはそっちでね、めちゃくちゃ面白いんで。仮に「もう海外出れません」って言われても、全然何かOKって感じ。
「今日はポップでいきたいな」って時に
ーー今日はEanbeのアロハを着ていただきましたが、どんな印象ですか?
第一印象は、「かわいい」でした。かわいいっていうのと、コンセプトをその時聞いて、何かシティー・ポップ、、、
ーーアロハのデザインは「トロピカル・シティー・ポップ」というコンセプトで作っています。
そう。「トロピカル・シティー・ポップ」ってマジでいいなって思いました。もともと今ハワイでも仕事してるんで、アロハシャツってすっごい着心地いいし、着るものとして性能いいじゃないですか。長持ちするし、着心地いいし、あと涼しいし。だけど、柄柄すぎるとか、柄が大体ハイビスカスとか、「東京では着づらいな」みたいなのがあったんだけど、その柄を調整することでシティーでも、しかも明るく風通しよく着れるみたいなのを聞いて「うわ、これ絶対ヒットしちゃうだろう」って。今僕なんかがこんなインタビュー受けてますけど、「どうせババババッて売れるようになっちゃうんだろうな」みたいなのは思いましたね。
ーーもったいないお言葉です、、、どんな時に着たいですか?
日常生活で着れるのが一番いい気がします。ここぞって時に着るとかじゃなくて、自分の気持ちとかを何となく明るくしたい時。「今日はポップでいきたいな」みたいな時に、パッて着るぐらいがいいんじゃないかなって。で、俺の好みは挿し色って感じ。それがメインっていうよりは、挿し色で使いたい。自分の視線の中に時々このカラフルな色が入ることで、景色って変わるじゃないですか。その感じが好きですね。普段あんまり柄モノは着なくて、モノトーンの方が多いので、そういう意味で明るくしたい時にちょい着るみたいなのがいいですね。
【プロフィール】
本間貴裕(ホンマ タカヒロ)
2010年、「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を」を理念に掲げ、ゲストハウス・ホステルを運営するBackpackers’ Japanを創業。同年、古民家を改装したゲストハウス「toco.」(東京・入谷)をオープン。その後「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」(東京・蔵前)、「Len」(京都・河原町)、「CITAN」 (東京・日本橋)、「K5」(東京・日本橋)をプロデュース、運営する。2020年、株式会社SANUを創業。現同社ファウンダー兼ブランドディレクター。福島県会津若松市出身。サーフィンとスノーボードがライフワーク。
■本間さんInstagram
https://www.instagram.com/hilo_homma/
■SANU Instagram
https://www.instagram.com/sanu_com/
■SANU HP
■K5 HP